令和6年6月定例会 一般質問

静岡県の公式ホームページから動画を視聴できます。

https://shizuoka-pref.stream.jfit.co.jp/?tpl=play_vod&inquiry_id=1323

1 県内イノベーション支援施設間の連携強化について

【質問全文】

現代社会は、AIやICT等の技術の進化が非常に速いペースで進んでおり、新しいテクノロジーやデジタルツールの登場、発達により、新たな価値の創造や生産性が飛躍的に向上しています。このような技術の進化が、イノベーションを創出し、新たなビジネスモデルや製品開発を促進することで、地域経済の持続的な発展につながることが期待されています。

こうした中、私の地元である菊川市では、市内企業の課題解決や成長を支援するため、今年3月、JR菊川駅前に、「菊川市産業支援センターEnGAWA」を開設しました。EnGAWAでは金融機関や支援機関などと連携して、市内事業者の経営相談に対応するとともに、併設したコワーキングスペースに来訪するテレワーカーや出張者などが有する事業拡大のニーズや固有の技術などの情報を蓄積しながら、市内事業者の課題解決につながるビジネスマッチングの機会を創出しようと取り組んでいます。

開設当初から経済誌にも紹介されたこともあり、利用者は徐々に増加し、法人登記する事業者も現れております。一方、市内事業者の課題解決や成長を促進するためには、新たな技術やビジネスを有するスタートアップなどとのビジネスマッチングや、多種多様な人や企業との交流が必要であると考えます。

また、県内にはEnGAWAのような、自治体や民間企業が設置するイノベーション支援施設が複数あり、地域課題を解決するためのイノベーション創出やビジネスマッチングなどに向けて、それぞれが創意工夫しながら取り組んでいます。

県においても、昨年3月、静岡市内にイノベーション拠点SHIPを開設し、ICT人材の育成と、異業種間交流等によるオープンイノベーションの推進に取り組んでおり、さらに、昨年12月にはSHIPに「ワンストップ相談窓口」を設置し、3名の相談員を配置してスタートアップ支援を行っているところです。

県内各地域では、少子高齢化に伴う人口減少などを背景に、地域経済を支えてきた産業の事業継続や、新たな雇用の創出など様々な課題が山積しておりますが、こうした地域課題を解決するためには、各地域でそれぞれ独自の活動を行っているイノベーション支援施設が、お互いに連携・協力し合うことで、より効果的な取組につながると考えます。

まさに、県がイノベーション創出を目的に設置したSHIPが核となり、各地域のイノベーション支援施設間の連携を強化すべきと考えますが、県の考えを伺います。

【答弁内容】

県では昨年度、イノベーション拠点「SHIP」に、新たにスタートアップを支援する機能を追加しました。具体的には、ワンストップ相談窓口のほか、スタートアップと県内企業等との橋渡しを行うネットワーク組織「ふじのくに“SEAs”」の運営であります。

「ふじのくに“SEAs”」は、県内に複数あるイノベーション支援施設をはじめ、企業・金融機関・大学・自治体などスタートアップとの連携を目指す産学官金の多様なプレイヤー約100者が会員となっており、来月には、今年度初めての全体会「Startup Forum」を開催いたします。

このネットワークを活用して、例えば、EnGAWA単独では解決困難な販路開拓や新商品開発などの事案について、相談員が直接EnGAWAを訪問し、意見交換やノウハウの提供を行うほか、専門的知識や技術を持つ“SEAs”会員の紹介や、スタートアップ等とのマッチングを図ることで、課題解決につなげてまいります。

また、「SHIP」が核となって、浜松磐田信用金庫が運営する「FUSE」や、沼津信用金庫が運営する「COMPASS」などとの定期的な意見交換会や、各施設が有するリソースの相互提供を進め、県内各地域で活動しているイノベーション支援施設間の連携の一層の強化を図ってまいります。

【要望】

SHIPは静岡市にあり、利用者は静岡市民が多い。SHIPの効果が広く県下に及ぶためにもSHIPと市町のイノベーション施設間の連携を進めていただきたい。

2 地域の実情に応じた移住促進施策の展開について

【質問全文】

令和5年度の県外からの移住者数は2,890人、移住相談件数は14,405件と、統計を取り始めた平成27年度以降で、いずれも過去最多となっています。

この結果は、平成27年度から「ふじのくにに住みかえる推進本部」を組織し、市町や地域団体と連携した様々な移住促進施策を継続的に実施してきた成果であると考えます。

一方、4月24日に人口戦略会議が発表した「令和6年・地方自治体『持続可能性』分析レポート」では、今後30年間の人口動態に関し、本県35市町のうち、9市町が20歳~30歳代の女性が半数以下になる「消滅の可能性がある都市」に分類されるなど、長泉町を除いた34市町で社会減対策は、必要または極めて必要とされており、こうした見通しには、自治体へのさらなる対策を促す狙いがあるものと考えられます。

県では、各市町と協力して移住・定住施策に取り組んでいるところですが、移住を検討している方々が望むそれぞれのライフスタイルを実現していただくためにも、市町の区域を越えた、より広い視点で考えていく必要性を感じます。

県内各地域にはそれぞれ素晴らしい地域資源があります。私の地元、菊川市は、豊かな自然に囲まれながらも、JR東海道本線の菊川駅や東名高速道路の菊川インターチェンジがあり、生活に便利で子育てしやすいコンパクトなまちでありますが、エリアを菊川市から県西部7市1町まで広げますと、自動車や二輪車、楽器等の世界的メーカーが立地し、本県のものづくり産業を中心とした都市の魅力に加えて、里山に広がる美しい茶園、風光明媚な浜名湖、豊富な食材、温泉など多種多彩な素晴らしい地域資源を有しています。このような各地域の有する地域資源の魅力を、移住検討者に効果的に届けることが重要であると考えます。

県では首都圏を主なターゲットとして移住施策を展開していますが、総務省が今年1月に公表した令和5年の人口移動報告の転入者数に着目して県西部の7市1町を見てみると、愛知、岐阜、三重の中京圏からは7,459人が転入しており、東京圏からの転入者数5,832人を上回っています。また、令和5年度には中京圏から西部地域に280人が移住していますが、これは中京圏から本県への移住者376人の約74パーセントに当たります。

このような状況を踏まえると、移住施策の推進に当たっては、地域性を分析・検討していくことが重要であると考えます。

そこで、これまでの取組実績や今回公表された移住者数調査の結果等を踏まえ、今後どのように地域の実情に応じた移住促進施策を展開していくのか伺います。

【答弁内容】

県では、これまで、首都圏から移住者を呼び込むため、市町と連携した取組を進めてまいりました。具体的には、東京有楽町の県移住相談センターでのきめ細かな相談、大規模相談会や移住検討者に好評な多彩なテーマのセミナーの開催、移住・就業支援金制度の活用等であります。

この結果、首都圏からの移住者が全体の約3分の2を占め、近年では特に、東部地域、中部地域を中心にテレワーカーの移住者が増加しております。一方、西部地域では首都圏に加え、中京圏からの移住者が増加するなど、地域ごとに特徴が見られます。

今年度は、引き続き、ホームページや各種セミナー等を通じて、各地域の魅力や移住検討者の関心の高い情報を発信するとともに、新たに広域移住コーディネーターを配置することにより、市町や関係団体等と更なる連携を図り、広域的な支援体制を構築してまいります。

また、地域ごとの特徴を踏まえた取組として、伊豆地域においては、農業や林業などを希望する移住検討者が多いことから、兼業や副業といった多様な働き方を提案する専任のコーディネーターを配置して移住を支援してまいります。東部、中部地域では、増加しているテレワーカーを更に呼び込むため、本県に転職なく移住したテレワーカーと移住検討者との情報交換会等を実施してまいります。

さらに、西部地域においては、市町と合同で、名古屋市内の移住フェアに出展するとともに、農業をテーマとしたセミナーや現地体験ツアー等を企画し、移住者の呼び込みを図っております。これらの企画・イベントについて、今後は中京圏への情報発信を強化してまいります。

県といたしましては、多彩なライフスタイルを実現できる地域として本県を選んでいただけるよう、市町や関係団体等と連携しながら、地域の実情に応じた移住施策の推進に積極的に取り組んでまいります。

【再質問】

移住促進施策をより効果的に展開していくためには、地域の実情を把握している地域局を巻き込んで市町の取組を支援していくべきと考えるが、県の所見を伺う。

【答弁内容】

各地域の特色を生かして移住を促進していくためには、議員御指摘のとおり、地域の実情を把握している地域局との連携が重要であると考えております。

このため、くらし・環境部では、移住を促進するための官民連携の組織である「ふじのくにに住みかえる推進本部」に賀茂、東部、中部、西部の4つの地域支部を設け、地域局や市町との情報交換等を行っております。

今後は、この地域支部を核として、地域局との連携をより一層強化して、地域の特色を生かした効果的な施策を市町とともに検討するなど、地域で一体となって移住促進策に取り組んでまいります。

3 原子力災害時の避難計画の充実について

【質問全文】

県は、「静岡県地域防災計画 原子力災害対策編」において、中部電力浜岡原子力発電所から5キロメートル及び31キロメートルを目安に、原子力災害対策 重点区域であるPAZ及びUPZを定めています。この区域には11市町が含まれ、82万人の方がお住まいになっていますが、当該計画では、区域内の病院及び有床診療所、並びに入所型の社会福祉施設において、入院患者や入所者の避難手段に配慮した避難計画を定めるものと規定しており、学校等においても生徒等が在校しているときの避難等について定めるものとしています。

県では、社会福祉施設について、令和3年度にモデル施設の計画策定を通じて実態に即した計画策定のガイドラインを作成・公表し、各施設へ策定促進の取組を進めています。しかし、計画策定の対象となる社会福祉施設のうち策定済みは1割程度の状況と聞いており、更なる対策が必要と考えます。

病院等については、対象となる57病院のうち策定が済んでいるのはわずか1病院であり、病院等についても社会福祉施設のような計画策定のガイドラインを作成し、計画の策定を促していくべきであります。

また、病院等のうち多くの施設は大規模災害時に救護の拠点となる施設であり、避難計画に基づく避難は困難と思われ、むしろ屋内退避のための防護施設化、シェルターの整備を進めることが現実的だと考えます。現在、放射線防護施設の整備は、原子力発電所から10キロメートル範囲までが国庫補助の対象となっていますが、補助対象範囲の拡大も国に要望すべきと考えます。

学校等については、計画策定の対象が公立学校及び私立学校に加え保育所等も含まれます。まずは対象施設における避難計画の策定状況をしっかりと把握することが必要です。

社会福祉施設・病院・学校等、要配慮者に関する避難計画の策定については、公助として県が積極的に関与していくべきであります。また、要配慮者の避難計画の策定は、県の関係各部局の連携が欠かせません。しっかりと横の連携を取って対応しなければなりません。

中部電力浜岡原子力発電所は、平成23年5月以降運転を停止していますが、今でも使用済及び使用途中の燃料8,942体が保管されており、これらの要配慮者等の避難計画の策定については迅速に進めていかなければならないと考えますが、県の考えを伺います。

【答弁内容】

浜岡原子力発電所における原子力災害の発生に備え、県では、内閣府が主催し、県、市町が参加する浜岡地域原子力防災協議会作業部会等の場を活用し、国の支援を受けながら、関係市町や関係部局と連携し、広域避難計画の充実に取り組んでいるところであります。

社会福祉施設につきましては、関係部局と連携し、施設関係者が集まる会合等の機会を活用した説明会の開催や施設に向けた動画配信を増やすとともに、関係市町と連携し、対象施設への個別訪問の機会の増加を図る等、計画策定の更なる支援を進めてまいります。また、病院等につきましては、今年度、避難計画を策定する際の拠り所とするため、ガイドラインの作成に取り組んでいるところであります。

要配慮者が屋内退避をするための建物等の放射線防護化につきましては、国の補助金の採択基準が、原子力発電所から概ね10km圏内に所在する施設とされているため、全国知事会を通じて、対象範囲の拡大を国に要望しているところであります。

学校及び保育所等につきましては、文部科学省作成の「学校の『危機管理マニュアル』等の評価・見直しガイドライン」等を参考に計画策定を進めておりますが、関係部局と連携し、各施設における避難計画の策定状況の確認を行い、その状況を踏まえ、必要な対応を行ってまいります。

【要望】

要配慮者の多くは「公助」を必要とする方々であり、その避難計画の策定にあたっても県と市町が支援すべきである。

4 農地利用の推進について

【質問全文】

農地は、食料の安定供給を確保する作物生産機能のみならず、雨水を一時的に貯留する国土保全機能、自然と一体となった景観形成機能など、多面的な機能を有しています。しかし、我が国の農業は、人口減少・高齢化を背景とした後継者不足と農地面積の減少が進んでおり、このままでは地域の農業が守れなくなることが危惧されています。農林業センサスによると、2020年の静岡県の農業経営体数は、約2万6千経営体であり、2010年の約4万経営体の約65%にまで減少しています。また、農林水産省の面積調査によると、2022年の静岡県の耕地面積は、約6万ヘクタールであり、2012年の約7万ヘクタールの約86%まで減少しています。

国は、令和5年4月1日に農業経営基盤強化促進法を改正し、地域での話し合いにより、目指すべき将来の農地利用の姿を明確化する地域計画を定め、それを実現すべく、地域内外から農地の受け手を幅広く確保しつつ、農地バンクを活用した農地の集約化を進めることとしております。

本県においても、県内農業を持続可能なものとするためにも、地域計画の策定により、効率的な農地利用による生産性の向上や、新たな担い手の確保などの動きを加速化することが必要と考えます。この取組の肝は、地域の中で農業の将来について話し合うことを通じて地域計画を作成していくことであり、各市町が、農業に関わる様々な関係者が参画する地域の協議の場を設置して取り組んでいますが、地域によって温度差がある中で、実りある協議を行うための課題も様々にあると思われます。

県は、清水町を除く34市町すべてで今年度中に地域計画の策定を目指すとしていますが、そのためのスケジュール管理はしっかりできているのか。地域計画を策定するにあたっての協議の場の設定が遅れている市町もあると聞くが県として支援・指導はできているのか。また、農地の集約は一つの市町で完結するとは限らず、県による広域的な調整も必要と考えます。

こうした課題を克服し農地の集約化を進めても、担い手がいなくては貸し借りは成立しません。地域計画実現のためには、人口減少・高齢化が進む中、将来を見据えた担い手をどのように確保するのかが重要な課題であります。

そこで、各市町における地域計画の策定や、担い手の確保等、本県の農業を持続可能なものとするために、農地利用の推進についてどのように取り組むのか、県の考えを伺います。

【答弁内容】

農業従事者の減少や高齢化が進行する中、地域が目指す農地利用の将来像を描く地域計画の策定は、本県農業の持続的発展に重要であることから、策定主体である市町と一体となって進める必要があります。

このため、県では、各市町の進捗状況を毎月調査するとともに、協議の場の設定が遅れている市町につきましては、農林事務所の職員が、協議に参加するメンバーや進め方を助言するなど、各地域の実情に応じた支援を行っております。また、一連の農地が複数市町にまたがる場合は、隣接する市町の担い手にも協議の場に参加してもらうなど、広域的な調整も行っております。

地域の協議の場では、地域内で規模拡大を希望する農家を明確化し、農地集積を後押しするとともに、新たな担い手が必要な場合には、農地バンクの人・農地調整員と連携し、県内の農業法人とのマッチングを行っております。さらに、立地条件の良い本県に進出を希望する県外の農業法人も多いことから、市町及び関係機関と「静岡県農業法人誘致推進連絡会」を組織し、積極的な法人誘致を進めているところであります。

県といたしましては、各市町の着実な計画策定とあわせ、地域の農業を支える担い手を確保することにより、農地の効率的利用を推進し、持続可能な農業を実現してまいります。

5 静岡県茶業の振興について

【質問全文】

総務省の家計調査年報によると、一世帯あたりのリーフ茶と茶飲料の支出金額の合計はそれほど大きな変動はないが、リーフ茶の支出金額は平成12年と比べ半分以下に減少し、国内のリーフ茶の需要が減少し続けています。一番茶の荒茶価格は令和5年は1キロあたり1,955円と、ピークだった平成12年の約6割となっています。そして、今年の株式会社静岡茶市場の一番茶取引価格が、記録的安値になる見込みと報道されるなど、リーフ茶中心に生産する静岡県の茶業はますます厳しい状況にあります。

一方、健康志向等を背景に、海外での緑茶の需要は伸びており、令和5年の全国の緑茶の輸出額は前年比33%増の292億円、1キロあたりの平均単価も3,851円と過去最高になるなど、海外の需要は拡大傾向にあります。特に、抹茶は供給量も足りない状態にあると聞いています。

このような状況に対し、市町は独自に茶業の振興策に取り組んでおり、私の地元である菊川市は、日本の高級緑茶を求める海外の需要もあると分析し、海外への販路の拡大を図るために佐川急便株式会社と協定を結び、海外向けのインターネットサイトでお茶を紹介し、国内の宅配便と同じ感覚で、小口のお茶を海外に送付できるようにしています。

また、輸出関係者などから、輸出においては県内の各産地のブランドでなく、静岡県産のお茶は「静岡茶」に統一したほうが扱いやすいという声を聞きます。リーフ茶は「静岡茶」というブランドに統一し、各産地の名前を付記すれば、ブランドとしての認知度は広まりやすく、さらに関心がある消費者は特定の産地のお茶を求めていくものと考えます。

拡大する海外需要への対応は重要であると考えますが、県はどのように推進していくのか伺います。

また、県はChaOIプロジェクトにより、需要に応じた生産体制への転換に必要な施設や機械の整備や、販路拡大の取組に対する支援を行っていますが、ハード面やソフト面での支援に加えて、掛川市が茶業版フェアトレードの取組を開始したように、生産者の所得確保につながる方策も必要と考えます。そこで、地域の茶業を支える小規模の生産者への支援策など、今後の茶業振興について県の所見を伺います。

【答弁内容】

近年、海外での健康志向の高まりを背景に、有機茶や抹茶の海外需要は増加しており、輸出用緑茶の販路開拓と生産拡大が重要であります。

このため、県では、需要が増加している欧米や東南アジアをターゲットに、輸出を促進することとしており、昨年度は、ラスベガスやマレーシアの商談会で静岡茶ブースを設け、有機茶や高級ボトリングティーを出品し、11件の商談が成立いたしました。引き続き、商談会への出展など静岡茶の販路開拓に努めてまいります。

また、輸出向けの有機茶や抹茶は需要に対して供給が不足していることから、県は茶商と生産者が連携した有機茶栽培の取組を支援しており、病害虫クリーナー等の導入や耐病性品種への転換を進め、栽培面積を令和4年度の266haから来年度は400haに拡大してまいります。

輸出向けの有機茶栽培を行う経営体では、あらかじめ価格を決めた契約栽培により安定した経営を行う事例が多いことから、県では小規模農家もその取組に参加することで所得が確保できるよう、ChaOIフォーラムでのマッチングや、茶園管理の技術指導に取り組んでまいります。

県といたしましては、急増する海外需要に対応した販路開拓や生産構造への転換を推進し、本県茶業の振興に全力で取り組んでまいります。

【要望】

今年の一番茶は大変厳しい状況であり、茶農家に対する緊急支援を検討していただきたい。

6 地元住民等との協働による県管理河川の除草の推進について

【質問全文】

令和5年9月定例会において、私は河川の除草について将来にわたって持続可能にしていくため、河川管理者の責務として、住民の負担軽減と予算面での充実に関して質問しました。

住民の負担軽減について県当局からは、市民の草刈り活動について、「豪雨が激甚化する中、河川の重要性に目を向ける機会となる地域活動は河川愛護だけでなく住民の水防災意識の向上にもつながると期待している」と答弁がありました。そのことを否定するものではありませんが、地域によっては、人口減少・高齢化により草刈りに参加できる人数が減少し、大きな負担になっているという実態をしっかり把握して対応していかなければならないと考えます。できるところを基準にするのであれば、できないところへの対応も考えるべきです。また、具体的な対策としては、除草作業を軽減するため大型草刈機を導入し効率化を進めていること、堤防天端の舗装により除草対象面積を減らすこと、危険が伴い多大な労力を要する箇所の県による直接実施などの答弁がありました。

予算面に関してですが、県は河川及び海岸の愛護思想の普及啓発、災害予防及び美化保全を図るため「河川海岸 愛護事業費 補助金」を市町に交付しています。補助率は対象事業費の3分の1を上限にするということですが、私の地元、菊川市を例にとりますと、今年度の交付率は約38パーセントです。つまり、補助金で賄えるのは、対象事業費の13パーセント弱に過ぎず、9割近くは市と地元が負担しています。予算の充実も大きな課題であります。

今回、改めて県管理河川の除草について伺います。県は、令和5年度にリモコン式草刈機をリバーフレンドシップ団体に試行的に貸し出しましたが、住民の負担が軽減され大変好評であると聞いており、この取り組みが有効であったと考えます。その一方で河川の適切な維持管理という観点で、リバーフレンドシップを締結していないものの、自主的に除草等を実施している自治会等に対する貸し出しが進んでおらず、また、現在貸し出されている草刈機は重量があり、建設業者等が手配する重機での運搬が必要となるため、使いづらいとの声もあり、さらなる改善の余地があると考えております。

草刈機の導入コストも決して小さいものではなく、草刈機がさらに活用されるよう、利用者や土木事務所などの現場の声を聞き、貸出し方法等の仕組みを随時見直していくことも必要であります。

そこで、地元住民等との協働による適切な河川の維持管理に向けた河川除草の今年度の改善点と、効率化の方向性について県の考えを伺います。

【答弁内容】

地域住民の皆様には、日頃から県管理河川の除草など、河川愛護活動に御協力いただき、感謝申し上げます。県では、河川除草業務の効率化と費用の軽減を図るため、令和4年度にリモコン式草刈機を導入いたしました。昨年度には、試行的にリバーフレンドシップ締結団体へ貸出しを行い、その結果、草刈り作業の負担軽減が図られるなどの評価を頂く一方、草刈機の軽量化を求める御意見なども頂いております。

今年度におきましては、更なる除草の効率化を図るため、8月までに7台を追加配備することとし、その内6台は軽トラックでの運搬が可能な小型の機種を導入いたします。また、リモコン式草刈機貸出要綱を策定し、一定の要件を満たせばリバーフレンドシップを締結していない団体に対しても貸出しを可能といたしました。

今後も、配備台数の追加など一層の効率化を図るとともに、地域の皆様の利用実態に応じて、使いやすくなるよう、改善に努めてまいります。

県といたしましては、予算の確保に努めるとともに、引き続き、地域の皆様との協働により、地域に愛される河川の適切な維持管理に取り組んでまいります。

【意見】

激甚化する災害予防のためにも、森と川と海の環境を一体的に守っていく財源の確保が必要と考える。

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